東京女学館小学校は、長い歴史と伝統を持ち、多くの家庭から「お嬢様学校」として支持されてきた私立女子校です。芸能人をはじめ、さまざまな分野で活躍する卒業生を輩出していることでも知られています。その一方で、入試では高い倍率を誇り、一般入試とAO入試の両方が行われるなど、特徴的な選考方法が採用されています。特にAO入試倍率は比較的低めに見えますが、願書や推薦など独自のハードルがあり、簡単に突破できるものではありません。
この記事では東京女学館小学校へ受かる子に関心がある方に向けて、どのような資質や準備が求められるのかを詳しく解説します。試験内容や面接でのポイント、進学先の実績や偏差値の目安、さらに学費の負担や実際の口コミや評判まで幅広く紹介していきます。お子さまがこの学校に合うかどうか、そしてどのような対策をしていくべきかを知るための参考になれば幸いです。
- 東京女学館小学校に受かる子の特徴
- 試験内容や面接で見られる点
- AO入試倍率や学費などの入試情報
- 進学先や口コミ評判から見た学校の魅力
東京女学館小学校に受かる子の特徴と試験情報

東京女学館小学校HP 画像出典
- 受かる子に必要な条件
- 試験内容のポイント
- 面接で見られる点
- 入試の倍率の推移
- AO入試倍率の実態
受かる子に必要な条件

東京女学館小学校で求められるのは、学力だけではありません。幅広い視点で見られるため、日常生活の習慣や人との関わり方も重要です。
まず、基本的な生活習慣をしっかり身につけていることが求められます。時間を守る、整理整頓ができる、挨拶が自然にできるなど、日頃からの行動が試験でも現れます。こうした点は先生方が重視する部分です。
また、集団の中で協調性を発揮できることが必要になります。リーダーシップをとる力と、周囲を思いやる気持ちのバランスを見ているとされています。例えば、グループ活動で意見を押しつけず、他の子の考えを聞きながら行動できる子が評価されやすい傾向にあります。
さらに、母親との関わり方も独特のポイントです。親子一緒に行う試験では、親が子どもに過剰に指示をしないか、逆に頼り切りになっていないかを見られます。親子の関係性が試験全体に影響するため、普段から「自分で考える力」を大切にする家庭環境が有利です。
ただ、すべてを完璧にする必要はありません。挑戦する姿勢や丁寧さがあれば、多少のミスはむしろ前向きな印象を与えることもあります。このようなポイントを意識すると、合格に近づく可能性が高まります。
試験内容のポイント

東京女学館小学校の入試では、多様な試験が実施され、子どもの総合力を見極めます。特にペーパー、個別、集団、運動、親子の5つの試験内容が柱になっています。
ペーパーテストは、図形や数を使った課題が多く出題されます。例えば、図形を回転させて正しいものを選ぶ問題や、絵を見て数を数える問題などがあり、観察力と論理的な思考力が問われます。
個別テストでは、クーピーやハサミを使ってお手本通りに作業をする課題が出ます。ここでは、手先の器用さや集中力が評価されます。小さなミスがあっても、やり直す姿勢や丁寧さが見られるため、焦らず落ち着いて取り組むことが大切です。
集団テストでは、他の受験生と一緒に活動します。ジェスチャーゲームやクイズなどを通じて、協調性や指示を理解する力が確認されます。例えば、チームで課題を解決する際に、友達を思いやりながら行動できるかがポイントになります。
運動テストでは、走る、懸垂、ドリブル、遠投などが出されます。単純な運動能力だけでなく、最後まで諦めない粘り強さが大切です。
親子テストでは、保護者と子どもが一緒に参加します。創作ダンスやクイズを通して、親子の関わり方やコミュニケーションを見ています。ここで親が過剰に介入するとマイナス評価になるため、子どもを尊重する姿勢が必要です。
このように、試験は多角的に実施され、子どもの総合的な力と家庭環境が反映される内容になっています。
面接で見られる点

東京女学館小学校では、面接が非常に重視されています。面接官は校長や教頭、そして教諭など複数で構成され、親子を総合的に評価します。特に注目されるのは、家庭での教育方針や親子の関係、そして子どもの人柄です。面接では、単に質問に答えるだけではなく、話し方や態度、親子の一体感まで見られる点が特徴です。
例えば、「本校のミッションステートメントについてどう考えますか」といった質問が出されることがあります。このとき、学校の教育理念をどの程度理解し、共感しているかが問われます。親が学校の方針をしっかり理解したうえで、自分の家庭での教育観とどう結びつけているかを説明できると、説得力が増します。
また、子どもの性格や成長を具体例で答えられることも大切です。「お子さまが幼稚園で成長した点はどこですか」という質問では、普段の生活の中で子どもが見せた変化を具体的に話すと印象が良くなります。単に「優しくなりました」ではなく、「以前は一人で遊ぶことが多かったのですが、最近は友達に声をかけて一緒に遊ぶようになりました」のように説明することがポイントです。
一方で、面接では保護者が一方的に話しすぎたり、子どもに答えを誘導したりすることは避けたほうがよいでしょう。面接官は、親がどれほど子どもの自主性を尊重しているかを見ています。ですので、親が子どもの言葉をさえぎらず、温かく見守る姿勢を示すことが大事です。
さらに、親子間の普段の会話や接し方が問われることもあります。家族内で丁寧な言葉遣いや落ち着いたやりとりができているかどうかが、子どもの態度に現れるからです。このため、面接に向けては特別な練習をするだけではなく、日頃からの親子のコミュニケーションを意識しておくことが有効です。
入試の倍率の推移

東京女学館小学校の入試は毎年高い人気を集めており、その結果、倍率も安定して高い水準を維持しています。過去数年間のデータを振り返ると、その傾向がよくわかります。
2023年度の一般入試では、志願者数が466名、合格者数が80名で倍率は約5.8倍でした。翌2024年度は志願者数が424名、合格者数が72名となり、倍率は5.9倍とわずかに上昇しています。さらに直近の2025年度では、志願者数が490名、合格者数が72名で倍率は6.8倍に達しました。こうして見ると、近年は受験者数が増加傾向にあり、競争が厳しくなっていることがわかります。
| 年度 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | 466名 | 80名 | 約5.8倍 |
| 2024年度 | 424名 | 72名 | 約5.9倍 |
| 2025年度 | 490名 | 72名 | 約6.8倍 |
倍率が高まる背景には、東京女学館小学校が長い歴史を持ち、系列の中学校・高校・大学進学への安定した実績があることが挙げられます。さらに、女子教育に特化したカリキュラムや日本文化を大切にした教育方針が、他校にはない魅力となっています。その結果、首都圏の女子校を志望する家庭からの関心が高まり、受験者数の増加につながっています。
一方で、倍率が高いということは、一定のレベルに達していても不合格となるケースがあるということです。ペーパーや運動だけでなく、親子活動や面接といった総合力が見られるため、どれか一つが極端に弱いと不利になることがあります。こう考えると、早めの準備やバランスの取れた対策が重要だと言えるでしょう。
AO入試倍率の実態
東京女学館小学校のAO入試は、一般入試と異なる特徴を持つため、倍率の見え方も少し違います。AO入試は、主に「この学校だけに入りたい」と考えている家庭が出願する傾向があり、単なるチャレンジではなく第一志望としての熱意を問われます。
AO入試の定員はおおよそ45名で、そのうち国際枠が含まれます。過去の実績では、倍率はおおむね2倍から3倍程度となっており、一般入試と比べると数値上は低い水準に見えます。しかし、この数字だけで「簡単」と判断するのは危険です。なぜなら、AO入試では出願時に推薦者が必要であり、願書の内容も非常に重視されるからです。A4用紙4枚分を出願者が書き、さらに推薦者も2枚にわたって書類を提出するため、準備にかかる負担は大きいです。
さらに、AO入試で合格した場合は辞退できないルールがあり、その点でも受験する家庭は慎重です。推薦を引き受けてくれた方に迷惑をかけないよう、誠実な姿勢が必要となります。
試験内容にも特徴があり、AO入試ではペーパーテストを実施しないため、所要時間は1時間ほどと短いです。しかし、その分、面接での質疑や提出書類の完成度が合否に直結します。例えば、学校の教育方針に共感した具体的なエピソードや、子どもの特性を丁寧に伝える文章が求められます。
このように、AO入試は倍率こそ低めに見えますが、出願資格や準備のハードルが高く、実際には強い意志と周到な準備が欠かせない入試制度となっています。
東京女学館小学校に受かる子と学校生活の実態

- 学費と納入費用
- 偏差値の目安
- 進学先の実績
- 芸能人の出身者
- お嬢様学校か
- 口コミや評判
学費と納入費用
東京女学館小学校の学費は、首都圏の私立女子校の中でも比較的高めの水準にあります。初年度に必要な納入金として、入学金が290,000円、施設費が160,000円と定められており、これらを合わせると入学手続き時点でかなりの額を準備する必要があります。さらに、授業料や給食費、施設運営費、宿泊旅行積立金、その他の諸費を加えた初年度の合計は1,461,000円になります。これは単に授業を受けるだけでなく、学校生活を快適かつ安全に送るための環境整備や行事運営が含まれているためです。
2年目以降の学費は年額998,000円で、初年度に比べるとやや下がりますが、依然として家庭への負担は小さくありません。加えて、寄付金として1口250,000円以上が求められることも特徴です。寄付は任意とされていますが、実際には多くの家庭が協力しており、学校運営や設備充実のための大切な財源となっています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 290,000円 |
| 施設費 | 160,000円 |
| 授業料(年額) | 618,000円 |
| 給食費(年額) | 131,000円 |
| 施設運営費(年額) | 96,000円 |
| 宿泊旅行積立金(年額) | 60,000円 |
| その他諸費(年額) | 106,000円 |
| 初年度合計 | 1,461,000円 |
| 2年目以降年額 | 998,000円 |
このような費用を見て、負担が大きいと感じる方もいるでしょう。しかし、東京女学館小学校では、茶道や華道、音楽や伝統文化を学べる機会が多く、質の高い教育環境が提供されます。給食も週5回、国産食材を使って安全面に配慮したメニューであり、食育の面でも高い評価を受けています。もちろん、これらの充実した内容が学費に反映されているため、家庭としては計画的な準備が欠かせません。
偏差値の目安

小学校受験には一般的な偏差値の指標は存在しませんが、東京女学館小学校の場合は系列校である中学校の偏差値が参考とされます。東京女学館中学校の偏差値はおおよそ54、高校は62とされています。この数値から、小学校も一定の学力や総合力を求める学校であることがうかがえます。
ただ、小学校入試ではペーパーテストだけではなく、行動観察や面接、運動など多岐にわたる考査が実施されます。そのため、ペーパーの偏差値だけで合否が決まることはなく、子どもの得意分野を伸ばしながらバランスのよい力をつけることが大切です。
例えば、計算や図形の問題が得意な子でも、集団行動が苦手であれば評価が下がる可能性があります。逆に、知識面で課題があっても、指示をしっかり理解し、落ち着いて行動できる子は高い評価を得ることがあります。このように考えると、偏差値の数字はあくまで目安であり、総合的な成長を見守る姿勢が重要になります。
一方で、周囲の私立女子小学校の動向と比較すると、東京女学館小学校は「中堅以上の難易度」と位置づけられます。高い倍率を考慮すると、早い段階からの準備や専門的な対策が必要になるでしょう。
進学先の実績

東京女学館小学校は、進学先の実績が豊富で、保護者にとっても大きな魅力となっています。卒業生の多くが系列の東京女学館中学校に進学しており、2025年4月には卒業生74名中67名が内部進学を果たしました。推薦基準を満たすことが条件となりますが、日々の学習や生活態度をきちんと積み重ねることで内部進学が可能です。
さらに、中学校から高校、そして大学への進学実績も優れています。東京女学館高等学校を経て、東京大学や東京外国語大学、東京藝術大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、明治大学など、多くの有名大学への進学者を輩出しています。とくに、慶應義塾や早稲田といった人気校への合格者数が目立つ点は、教育の質を裏付けるものといえます。
一方で、内部進学を前提にせず、外部の中学校を選ぶ家庭もあります。その場合でも、東京女学館小学校で培った基礎力や礼儀、表現力は強みとなり、他校の受験でもプラスに働くことが多いです。学校側も、子どもの適性や希望を尊重し、幅広い進路をサポートしています。
このように、東京女学館小学校の進学実績は、系列校の安心感と外部受験への強さの両方を兼ね備えており、将来を見据えた選択肢を広げる大きな支えになっています。
芸能人の出身者

東京女学館小学校は、長い歴史を持つ女子校として多くの著名人を輩出してきました。その中には芸能界やメディア業界で活躍する卒業生も少なくありません。例えば、オペラ歌手として知られる郡愛子さんや、元テレビ朝日アナウンサーの南美希子さん、女優の夏目雅子さん、そして元フジテレビアナウンサーの寺田理恵子さんなど、さまざまな分野で注目される人材がいます。
他にも、元宝塚歌劇団の男役トップスターとして名をはせた久世星佳さんや、歌手として活動するSILVAさん、作家や脚本家として活躍する河原れんさんなど、多彩なジャンルで活躍する方々がこの学校の出身です。これらの卒業生が共通して身につけているのは、礼儀や品性、そして自分の意見を堂々と伝える力です。
一方で、こうした華やかな出身者が多いことから「芸能人の子どもが通いやすい学校」との印象を持たれることもありますが、実際には幅広い家庭の子どもたちが学んでいます。学校側は特別扱いをせず、すべての児童に対して同じ教育方針を貫いています。このため、特定の分野に偏らず、多方面で活躍できる素養を養う環境が整っていると言えるでしょう。
お嬢様学校なのか

東京女学館小学校は、その校風や教育方針から「お嬢様学校」として広く知られています。創立は1888年で、渋沢栄一や伊藤博文といった歴史的人物が関わった背景があり、伝統と格式を重んじる校風が現在も続いています。
学費は私立小学校の中でも高めで、家庭での教育方針や品性を重視する考査が行われているため、必然的に一定の経済的・文化的水準を持つ家庭が集まります。さらに、授業の中で茶道・華道・日本舞踊などを学び、日常的に美しい所作や言葉遣いを身につける教育が行われています。これにより、外部からも「育ちの良い子が多い」という評価を受けることが少なくありません。
ただし、決して派手さや特権的な雰囲気を前面に出しているわけではなく、むしろ質素で落ち着いた学校生活を大切にしている点が特徴です。校舎や教室も整理整頓が徹底され、物を大事に扱う習慣が身につきます。表面的なブランドではなく、内面の品格を育てる教育方針こそが「お嬢様学校」と呼ばれるゆえんと言えるでしょう。
口コミや評判

東京女学館小学校の口コミや評判を見ていくと、多くの保護者が「子どもの成長を実感できる学校」と高く評価しています。実際に通わせた家庭からは、子どもが恥ずかしがり屋から積極的な性格へと変わった、言葉遣いや態度が丁寧になったという声が目立ちます。授業では「教室は間違えるところ」という方針が浸透しており、どんな意見も受け止めてくれる環境が子どもたちの挑戦心を引き出しているとされています。
また、茶道や華道などの日本文化を日常的に学べる点も評判が良く、家でも学んだことを活かしているという話が寄せられています。校内行事や体験学習も充実しており、海外イングリッシュキャンプや軽井沢での宿泊行事など、幅広い経験を積める点を評価する声も多いです。
一方で、アクセスがやや不便であるという意見や、PTA活動で保護者が学校へ行く機会が多いことへの負担感を挙げる口コミもあります。学費についても「高めだが、それだけの価値がある」という意見が見られるなど、費用面を考慮する必要性が指摘されています。
総合的には、学習面だけでなく生活全体を通じて品格や自主性を育てる学校として、長年にわたり多くの家庭から信頼を集めていることがわかります。初めて情報を探す方にとっても、これらの口コミは大きな参考になるでしょう。
東京女学館小学校に受かる子のポイントを総括
この記事のポイントをまとめます。
- 学力だけでなく生活習慣や協調性が重視される
- 挨拶や整理整頓などの日常行動が評価対象となる
- グループ活動で他者を尊重できる姿勢が求められる
- 親子の関わり方も試験評価に影響する
- ペーパー・個別・集団・運動・親子テストの5種類を実施する
- ペーパーテストでは図形や数の問題が出題される
- 個別テストでは手先の器用さや集中力が問われる
- 集団テストでは協調性や指示理解が試される
- 運動テストでは粘り強さや基本運動能力が見られる
- 面接では家庭の教育方針と子どもの人柄を深く確認される
- 一般入試の倍率は近年5~6倍以上で推移している
- AO入試は倍率が2~3倍だが推薦や願書準備が厳しい
- 学費は初年度約146万円で寄付金が求められる場合もある
- 卒業後は系列中学や有名大学への進学実績が豊富である
- 校風や教育内容から「お嬢様学校」と評価されることが多い


